WAVAC Audio Lab
1994年 元吉喜工業(株)の吉沢専務が故宍戸公一氏の著作による「シングルアンプ製作集」に出会ってから始まる。
彼(吉沢氏)は早速故宍戸氏の自宅に面会に行きそこで宍戸氏とオーディオ談義で意気投合し、帰って早速真空管オーディオの開発・製造のプロジェクトを作る。
プロジェクトのメンバーは舞台音響とレコーディングエンジニアをしていた小生(伊藤)と電子回路開発をしていた松木康倫・工藤昌邦の3名に相談役・技術顧問として故宍戸氏に就任していただき、吉沢氏の監修のもと始動した。
懐古的な真空管アンプを作るのではなく現代の低能率のスピーカーを楽々と鳴らせるアンプであること・・・出力が大きいこと
見て楽しめて(趣味性が高いこと)音がよいこと(周波数帯域が広いこと)を目的とされた。
1994年故宍戸氏の指導のもと(故宍戸氏の回路設計による)A級シングルエンドアンプHE-805を完成させる。
回路設計・・・故宍戸氏
筐体設計・・・元吉喜工業(株)吉沢保夫氏
開発スタッフ・・・伊藤譲・松木康倫・工藤昌邦
1995年 故宍戸氏と吉喜工業(株)の連名で「変圧器を使った電子管の結合回路」の特許を取得する。
1995年 日本にてHE-4304・ATT-Sを発表
1995年 HE-4304・ATT-S通商産業省選定グッド・デザイン商品に選定される。
1995年 ATT-Sは中小企業庁長官賞受賞
1995年12月 EC-300Bを発表
1996年1月 USA Winter CESに出展世界進出を図る。
1996年~ 変圧器を使った電子管の結合回路で特許を取得
・登録番号:特許第2732830号
真空管アンプ HE-4304 グットデザイン受賞
EC-300B グットデザイン受賞
MD-811 グットデザイン受賞
オーディオ アッテネーター
ATT-S 中小企業長官賞受賞
グットデザイン受賞
ATT-Q グットデザイン受賞
真空管アンプ HE-833‘98コンポーネント オブ ザ イヤー受賞(ステレオサウンド社)
1997年1月 USA Winter CESに出展
1997年 MD-811&MD-300Bを発表
1997年 A級シングルアンプでは世界最大の出力(100W)を出すHE-833を発表
その年Stereo Sound誌によるコンポーネント・オブ・ジ・イアー賞を受賞
1998年1月 USA Winter CESに出展 HE-833でティール製の低能率
スピーカーを楽々鳴らして評判となる。
1998年3月 宍戸氏急死・伊藤氏が宍戸氏の遺志を引き継ぎアンプの開発を続ける。
1998年6月 USA ロサンゼルスでオーディオ・ファイル誌主催のオーディオ・ショー-に出展 PR-X1(ライン・プリアンプ)・LCR-X1(フォノイコライザーアンプ)を発表、好評を得る。
1999年8月 WAVAC Audio Lab の開発・製造・販売を吉喜工業(株)より株式会社シグマが引き継ぐ
2002年 真空管アンプ EC-300B 2002年USA(米国)にてベスト オブ コンポーネント賞受賞
2000年1月 USA Winter CES に出展
2001年1月 USA Winter CES に出展
2002年1月 USA Winter CES に出展
EC-300B Enjoy the Music(USA) Best of 2002 Awardsを受賞
2003年1月 USA Winter CES に出展.
PR-T1 MD-805mを発表
HE-833 Winner of Brutus “Best of 2003” award - Tube amplifier 受賞
2003年 USA(米国)においてのオーディオ誌POSITIVE FEEDBACK よりHE-833がKing of SETの称号をいただく。
2004年1月 USA Winter CES に出展
WAVAC Audio Lab 10周年記念モデルSH-833を発表、注目を集める。
2004年8月 WAVAC Audio Labとして株式会社シグマより独立する。
2005年1月 USA Winter CES に出展
PR-T1 Enjoy the Music(USA) Best of 2005 Awardsを受賞
2005年5月 EU HIGH END 2005 M.O.C. Munich Germany に出展
2005年6月 EU・USAでWAVAC Audioの商標登録を取得する。
2006年1月 USA Winter CES に出展
MD-805m Mk2を発表
2006年3月 RUSSIA The HDI show 2006 in Moscow に出展
2006年3月 CHINA SIAV show 2006 in Shanghai に出展
2006年5月 EU HIGH END 2006 M.O.C. Munich Germanyに出展
EC-300B Best of 2006 Awardsを受賞
2006年8月 株式会社WAVAC Audio Labとして会社設立する。
2007年1月 USA Winter CES に出展
HE-833Mk2を発表
2009年 USAにてMD-805mMkⅡが
The 6th Annual Positive Feedback Online‘s Writers’ Choice Awards - for 2009を受賞
第一号機 HE-805の特徴
1.筐体はアルミブロックによる削りだしで超重量シャーシーである。
2.出力段は大型3極送信管805をA級動作のシングルエンド回路による構成
・A級シングルアンプは澄みきった表情でナチュラルな音である
・故宍戸氏の設計ポリシーである低電圧大電流を流すことで重低音の再生を可能にし送信管の欠点である高音域の暴れを抑えたアンプに仕上がった。
・シングルエンドの出力段は、プッシュブル回路と比べハイパワー化が難しく、出力段の直流が、プッシュブル回路のように双方向に打ち消しあって出力トランスに流れず、一方向にしか流れないため、直流磁化が生じ、低域再生能力ではプッシュブルに劣るのが最大の問題だったしかし、トランスメーカー(TANGO社)の協力によって大容量のトランスを製造してもらいその問題は解決された。・・・ハイパワー化の実現50Wの出力
3.故宍戸氏の理論によるインプット・トランス反転結合回路の利用(Inverted Interstage Transformer Circuit・・・IITC回路)
・一般に送信管は広い正電位の動作領域を持っています。したがってこの種の真空管をA級動作で充分にその性能を発揮させてやるためには、グリッド・バイアスを正(ポジティブ)に保ったまま動作させることが必要になるります。つまりグリットには、常時直流電流が流れ、また入力電圧が大きくなると正の片方では大きなグリット電流が流れ、負の片方ではその絶対値が正のグリッドバイアスを超えた点より先の部分では流れなくなります。このため上下の波形にアンバランスが生じ2次歪みが生じます。これらの不都合を最小にとどめるためには、コントロールグリッドのドライブ電源として、低インピーダンス、低直流抵抗で大きなグリッド電流も電圧降下させることなく送り込めるパワードライブ電源が必要になります。
4.故宍戸氏の理論によるインプット・トランス反転結合回路の利用(Inverted Intersteage Transformer Circuit・・・IITC回路)
・前ページの目的のための手段としては2次側のDCR(直流抵抗)をなるべく小さくしたインプット・トランスを小型パワー管でドライブするパワードライブ法が考えられます。しかし、ここで問題となるのは電流で、ドライバー管のプレート電流と出力管のグリット電流とが1次側と2次側とで重畳すると相当の電流となり、かなり大型のインプット・トランスを使用しなければ良好な周波数特性と歪み特性を得ることはできません。そこでイン プット・トランスの2次側を反転して、出力管のグリット直流電流を1次側のドライバー管プレート電流と各々逆方向に流し、互いに打ち消しさせ直流磁化を軽減することにより小型のインプット・トランスで良い特性を得るという理論の回路です。
5.3極管のフィラメントからのハム音を軽減するために、ヒーターを直流点火にした。
6.信号回路からは音の劣化に繋がり易いコンデンサーを排除して初段管とドライバー管は直結にした。